暗記が苦手な方へ
- 受験勉強をしているけれど、暗記が苦手
- ストレスなく効率的に覚える良い方法を知りたい
- 覚えなければならないことが多すぎて、気が遠くなる…
このような悩みを抱えている方へ、「心地よく覚える勉強法」をお伝えしたく、この記事を書いています。
私自身、この方法で、初学者から勉強を始めて2年5か月で、公認会計士試験(当時の2次試験)に合格することができました。
いきなり覚えようとしてはいけない
知らないこと、馴染みのないことを、いきなり覚える、という行為は、不快感が大きく、覚えるのに時間がかかり、忘れる速さも速いです。
一方、覚えるべき対象を、出来る限り理解して、何回も眺めて、自分にとって馴染みの状態にしてから初めて「覚える」というプロセスに進むと、脳に取り込む際の不快感が少なく、心地よく覚えることができます。
覚えるべき対象を心から理解する
→何度も眺めて自分にとって馴染みのあるものにする
→(ここで初めて)覚える
→繰り返しじっくり定着させる
という流れで、脳が不快に感じないように順を踏んで脳内に取り込むイメージです。
以下、ステップ0~6で詳しくご紹介します。
ステップ0:小分けに行う
以下ステップ1~ステップ6の作業は、全範囲をまとめて行うのではなく、小ユニットにわけて行うことをおススメします。(例:テキストの章ごと、1回の授業ごと)
自分が「覚えきれる」と思える分量に小分けすることで、「無理だわー」という気持ちや、「嫌だなー」という心の不快感をとりのぞきます。
学校や予備校で授業を受けている場合には、習った記憶が覚めないうちに、復習として実施すると効率的だと思います。
ステップ1:まずは理解する、腹落ちする
覚えるにあたり、出来る限り、心から理解することが重要です。
意味が分かっていないのに丸暗記することは、不快感が伴いますし、忘れるスピードも速いです。
受験勉強では、時に意味のないことを覚える必要が生じますが、自分なりにストーリーを作ってでも、自分の中で腹落ちさせる努力をします。
理解が深まるほど、その後の脳内への取り込みと定着がスムーズに行きます。
ステップ2:理解を深めながら丁寧に書き写す
心から理解できたら、覚えるべき対象(定義など)を、カードに書き写します。(※カードを使うメリットについては、本記事の最後に記載しています。)
書き写す際のポイントは以下の通りです。
表にタイトルまたは質問、裏に内容または回答を書く
カードの表のタイトルや質問を見て、頭の中に「〇〇ってなんだろう?知りたい!」という状況を作ることが目的です。「知りたい!」という欲求が生まれると、ぐんぐん頭の中に入ってきます。
1枚のカードに1つの情報を書く
1枚のカードには、覚えなければならない情報を1つだけ書きます。
情報を詰め込むと、一気にやる気が下がります。シンプルに、とりあえずこれだけ覚えれば良い、という状況にするとやる気が上がります。
余白をしっかりとって、大きな文字で、1つだけ書いてください。
手書きで書く
手で書き写す行為を通じて理解が深まります。また、自分の書いた文字の方が親近感が湧いてスムーズに頭に入ります。
カードに書くことで理解も馴染みも深まりますので、一言一言意味を考えながら、理解しながらカードに書き写します。
カードは、完全に知識が定着するまで、その後何百回も見ることになるので、とにかく丁寧に書きましょう。
(自分の字が読みにくくて、返ってやる気をなくす場合は、手書きにこだわらなくても良いと思います。)
使用するペンにも気を配る
自分が眺めたときに快適に感じる、ほどよい太さのペンを使用しましょう。
カード用は見やすさが重要です。書くのは1回ですが、見るのは数十回から数百回にのぼりますので。
アウトプットの勉強用は書きやすさだけを追求してペンを選んでOKですが、
インプット用は、その文字を眺めたときに感じる、見やすさ・心地良さを追求してください。
(重要)長い文章は、適切に改行する
定義などの長い文章は、「こんなの覚えられるのか?」と気が遠くなりますよね。私自身、会計士受験を始めて、暗記すべき定義の長さに、驚愕したことを覚えています。
長い文章は、改行する位置に気を付けて、1行ずつ小分けに分解して覚えるようにします。
覚えられるレベルまで1行の文字数を最小化します。
改行する箇所は、1行1行が意味のあるひと固まりになる様に十分気を配ります。
そして、まずは1行目を覚えることを目標にします。
1行目が、何も見なくても当たり前に言えるようになったら、2行目だけを覚えることを目標にします。
(もう1枚のカードで2行目以降を隠し(1行目は見えている状態で)2行目だけをスラスラ言えるようにします。)
この流れで、「自分の中で当たり前に言える部分」を1行ずつ増やしていくと、最後には長い文章もストレスなく言えるようになります。(人間の頭ってすごいです!)
なお、覚えるべき対象が長い時は、カードは複数枚に分けてもOKです。見やすさを優先してください。
ステップ3:書いたカードを眺める
カードができあがったら、まずは眺めます。
この段階では、まだ覚えようとしません。
カードの表のタイトルや質問を見て、頭の中に「〇〇ってなんだろう?知りたい!」という状況を作ることが重要です。
脳が「知りたい!」と渇望していることはスイスイ頭に入ってくるからです。しかし、いきなり覚えようとすることは不快感を伴うので、この段階では、質問(カードの表)をみたらすぐ答え(カードの裏)を眺めてOKです。
カードを繰り返し眺めることで、最初は馴染みのなかった情報を、自分にとって「馴染みのある情報」、「暗記まではしていないけれど、良く知っている情報」に変えて行きます。
ステップ4:覚える
ステップ1~3を通じて、カードの情報が自分に馴染んだら、いよいよ脳内に取り込みます。
カードの表(タイトルや質問)を見たときに、カードの裏(内容や解答)を口頭で言えるようになるのが目標です。
カードを音読して覚える
私自身は、カードは音読していました。記憶が定着するまでには、何十回、何百回とアウトプットの練習が必要です。
音読は、書く場合に比べて、時間を節約し、その分回数を増やせます。
また、一言一言、声に出すすることで、記憶が不確かな部分が明らかになります。
なお、長さによりますが、長いものはカードの裏側(内容、解答)をもう1枚のカードで隠し、1行ずつ答え合わせしながら進めると、脳にかかる負担が少なくすみます。
一度に回すカードの枚数は、最初は数枚で。記憶の定着に応じて増やしていく
一度に大量の情報を覚えようとすると、挫折してしまいます。
新しいことを暗記するのは不快感を伴いますので。
とは言っても1枚のカードをひたすら覚えるのでは飽きてしまうので、5枚~10枚(ご自身の快適な枚数でOKです)を1セットにして回すのが良いと思います。
覚えたら一旦そのカードは終了。次の5枚~10枚に進みます。
こうして一通り記憶しますが、この状態では、まだ短期記憶に一時的に入っている状態です。
ステップ5:定着させる
ステップ4で取り込んだ情報を、自分の中に定着させます。
一度覚えたら、あまり間をあけずに、復習を繰り返すと、不快感が少ないです。
この過程で、違和感のある不安定な記憶から、自分にとって当たり前の記憶に変化していきますので。
記憶の定着とともに、復習の間隔をあけていきます。
1回に回すカードの枚数も、20枚、30枚と増やしていきます。
最終的には、試験範囲のすべての学習内容がカード化され、とまることなく、回せるようになります。
試験に必要なすべての情報が、自分にとって当たり前の記憶になり、いつでもストレス無く自分のデータベースから取り出せるイメージです。
ステップ6:最終的なアウトプットの練習
覚えるべき内容が自分の中に定着し、スラスラ言えるようになったら、最終的なアウトプットの練習は手書きでも行いましょう。
特に、本番の試験が手書きの場合、書き慣れしておくことが重要です。
文章を書くスピードと、テストの時間配分も測る必要がありますので。
また、書きだすことで、記憶があいまいな部分が明らかになります。
勉強のプロセスを心地良いものにしよう
以上、心地よく覚えるための6ステップをご紹介してきました。
何か新しいことを覚えるというのは不快感を伴うものです。
覚える前に、良く理解して、眺めて、自分にとって馴染みのあるものにする。
一旦覚えたら、頻繁に触れて、自分にとって当たり前の存在にする。
これにより、自分の中への情報の取り込み、定着、取り出しがスムーズになると思います。
本記事が、皆さんが勉強を快適に、効率的に進められるご参考になれば嬉しく思います。
カードを使うメリット
さいごに、カードを使って覚えるメリットについてご紹介して、本記事を終わりにしたいと思います。
今、この瞬間に覚えるべきことをシンプルにする
1枚のカードには、覚えなければならない情報ただ1点しか書いていません。
最終的には目標とする試験範囲の全てを覚えることになるのですが、分解してみれば、一枚一枚のカードに分解されるのです。
とりあえず今はこの1枚のカードを覚えれば良い、と思うと気がラクになります。
順番の入れ替えや、追加・削除ができる
1枚1情報なので、いくらでも順番の入れ替えができます。また、先に覚えてしまったカードはよけて、なかなか覚えられないカードだけを集中的に回して覚える、といった使い方ができます。
並べて頭の中を可視化できる
カードを並べて、頭の中の情報を可視化し、整理することができます。
持ち運びがラク
覚えなければならないカード5枚だけを持ち歩き、歩きながら覚えるも良し、天気の良い日は公園に行って覚えるも良しです。とくに、ウォーキングしながらの暗記は、経験上、定着が良いと実感しています。覚えるまで家には帰らない、と決めて、ひたすら5枚のカードを回しながら覚えるのも良いと思います。
私は、公認会計士試験の受験生時代から現在まで、京大式カード(無地)を使っています。使用感(厚み、硬さ、大きさ、手触り)が心地よいからです。カードに限らず、ツール全般に言えることですが、試験が終わるまで使い続けるものですので、心地よく、効率的に使えるものが見つかると幸せですね。
目標に向けて勉強がんばりましょう!